佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』大阪神戸附近10 生駒山 ― 2015年05月29日
生駒山
大阪市の東方に聳ゆ。大和河内の国境に立てる山。
おとなしき生駒の山の秋姿入日のあとの紫のよさ
補録
難波門を漕ぎ出でて見れば神さぶる生駒高嶺に雲ぞ棚引く
妹がりと馬に鞍置きて生駒山うち越え来れば黄葉散りつつ
君があたり見つつを居らむ生駒山雲なかくしそ雨は降るとも
秋篠や外山の里やしぐるらん伊駒の嶽に雲のかかれる
生駒山あらしも秋の色に吹く手染めの糸のよるぞかなしき
思ふことそなたの雲となけれども生駒の山の雨の夕暮
はるかなるながめもすずし難波がた生駒の雲のゆふだちの空
波の上にうつれる月はありながら生駒の山の峰ぞ明けゆく
我こそは面がはりすれ春霞いつも生駒の山に立ちけり
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