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唐詩選卷六 春暁2010年04月21日

春暁(しゆんげう)   孟浩然

春眠不覺曉  春眠(あかつき)を覚えず
處處聞啼鳥  処々啼鳥(ていてう)を聞く
夜來風雨聲  夜来(やらい)風雨(ふうう)の声
花落知多少  花落つること知んぬ多少ぞ

【通釈】春の眠りは、夜が明けるのも気づかない。
目覚めるとあちこちで鳥の鳴く声がしている。
昨夜は風雨の音がしていたが
花はどれほど散ったことだろう。

【語釈】◇知多少 「多少」は「どのくらい」を意味する疑問詞で、「知」と共に「いったいどれほどか」といった意味になる。「知」を「知んぬ」と訓むのは古来の訓み慣わしに従ったもの。

【補記】唐詩の五言絶句の中でも殊に名高い作であるが、和歌への影響は意外に少ない。

【作者】孟浩然(もうこうぜん)(689~740)。浩然は「こうねん」ともよむ。盛唐の詩人。湖北襄陽の人。官職を得られぬまま放浪し、王維・李白らと交流する。王維と共に王孟と並称される。『孟浩然集』四巻を残す。

【影響を受けた和歌の例】
夢のうちもうつろふ花に風吹きてしづ心なき春のうたた寝(式子内親王『続古今集』)
暁をしらずといへる春ながらことしは夢もやすくむすばず(明治天皇『御集』)

コメント

_ 北川英雄 ― 2010年06月01日 06時59分

私が高校時代に習ったのでは、処々啼鳴を聞くだったのですが、現在はNHKの子供番組でも啼鳥を聞くとなっています。唐詩選の文字を変えることはいつ頃からおこなわれたのでしょうか。72歳

_ 水垣 ― 2010年06月01日 12時39分

詳しいことは存じませんが、私の持っております岩波文庫の唐詩選(昭和37年初版、同50年第18刷)では「啼鳥」となっています。お話からしますと、おそらく昔の版本では「啼鳴」になっていたのでしょうね。
岩波文庫本の「凡例」を読みますと、「唐詩選が甚だあてにならぬテキストだから」「唐詩選とその他の詩集との間に相違がある時は、多く後者の方に従った」とあります。『全唐詩』や『孟浩然詩集』を見ますとやはり「啼鳥」となっていますから、唐詩選よりも信頼できるこれらのテキストによって、唐詩選の本文を改めたのであろうと推測されます。
「啼鳴」が「啼鳥」に改められたのがいつだったのかは存じません。

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