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更新のお知らせ2017年02月01日

かみのやま温泉 斎藤茂吉の絵

かみのやま温泉駅の斎藤茂吉

やまとうたeブックスのサイトに「電子書籍のための参考資料集」のコーナーを設け、新たに「斎藤茂吉 略年譜」をアップしました。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州1 門司2017年02月07日

門司港

門司

関門海峡の南岸にあり。往古文字の関ありき。本土より行く九州の門戸なり。(注:福岡県北九州市門司区)

 

新開竹雨

どんよりと師走の空のうすぐもり人なだれあがる門司の桟橋

川田順

秋の夜の桟橋通一列のくだもの店の灯の強さかな

毛利碧堂

船の灯も今宵ちらほら物さびし門司の港の五月の闇に

金塚光

門司の海汐さゐさやに聞ゆれど夕なぎ時の風もあらなく

白岩艶子

紫の霞わけこしおほぶねや浮標ブイうちゆらぐ汐早き門司

補録

もじの関すぐるに、関屋に人の見えざりければよめる

源俊頼

ゆき過ぐる心はもじの関屋よりとどめぬさへぞかきみだりける

女のがりつかはしける
藤原顕輔(金葉集)

恋すてふもじの関守いくたびか我は来つらむ心づくしに

藤原忠通

月の影つめる重荷の筑紫舟とどめてをみよもじの関守

藤原家隆

玉づさも都へ行かばことづてむ文字の関路をかへる雁がね

西園寺実氏(新勅撰集)

春秋の雲ゐの雁もとどまらず誰が玉づさのもじの関守

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州2 企救の長浜2017年02月09日

企救の長浜

企救の長浜(北九州市の門司から小倉にかけての海岸)

補録

企救きくの長浜

豊前国の歌枕。企救の高浜とも。福岡県の企救半島の付け根あたり、北九州市門司区から小倉北区にかけての海岸。「企救」は北九州市とその周辺に相当する旧地名であるが、後世「菊の長浜」と書かれることも多い。

 

浦の沙に寄す
作者未詳(万葉集)

豊国とよくに企救きくの浜辺の真砂土まなごつち真直まなほにしあらば何か嘆かむ

(「真砂土」までは「真直」を導く序。かつ「まなご」に「愛子まなご」の意を掛け、恋人が浮気でなかったら、と願い嘆いた歌。)

問答歌(二首)
作者未詳(万葉集)

豊国の企救の長浜行き暮らし日の暮れゆけばいもをしぞ思ふ

豊国の企救の高浜高々に君待つ夜らはさ夜更けにけり

法印公誉

これよりや天の川瀬につづくらむ星かとみゆる菊の高浜

恋の歌
源実朝

豊国のきくの長浜夢にだにまだ見ぬ人に恋ひやわたらむ

浜雪
冷泉為尹

これのみぞうつろふ色はなからまし雪の花咲くきくの長浜

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州3 小倉2017年02月11日

小倉城と紫川

小倉城と紫川

補録

小倉こくら

豊前国企救きく郡の一地域。近世、小倉藩の城下町として発展する。近代、福岡県小倉市となり、のち北九州市に合併され、今の小倉北区・南区に相当する。小倉駅は山陽新幹線・九州新幹線の主要駅の一つであり、日豊本線の起点でもある。森鷗外が軍医として住み、鍛冶町に旧居が残る。

 

斎藤茂吉

春いまだ寒き小倉をわれは行く鷗外先生おもひいだして

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州4 戸畑・八幡製鉄所2017年02月13日

北九州市の工場夜景

北九州市工場地帯の夜景

戸畑とばた

筑豊炭の輸出地にして船舶泊湊せり。海を洞海どうかいといふ。(注:もと遠賀おんが郡の村。北九州市に合併される以前は戸畑市であった。ほぼ現在の戸畑区に相当する。)

 

三角いくよ

石炭の山見てはしる汽車はしる紺青の海海の白き波

八幡やわた製鉄所

八幡にあり。(注:八幡はもと遠賀郡の村。町・市と移り、現在の北九州市八幡東区・八幡西区に相当する。八幡製鉄所ははじめ八幡村に国営の製鉄所として始まった。関連の建造物は世界文化遺産に登録されている。)

 

福原俊丸

天雲をやき亡ぼさむ溶砿炉ほのほくもりて夕立のふる

萱野千賀子

転炉の火とろとろ燃えて闇の山にひたくれなゐの息をふきかく

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州5 若松2017年02月15日

北九州市工場地帯

北九州市工場地帯の夕景

若松

洞海の門戸の西岸にありて、東岸の戸畑と対へり(注:福岡県北九州市若松区。もと若松市。響灘に面す。若松駅はJR筑豊本線の起点駅)。

 

間島酔牛

晴し日もみ空くろみて若松は煙の林立ちつづきたり

袋一平

いちめんに水の上おほふ黒けむり並ぶマストの末黒々と

補録

辻奥茂

高塔山北面展けて玄海の月夜の凪の遠どほに見ゆ

(注:高塔山は若松区の小山。現在は公園として整備されている。)

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州6 古賀2017年02月17日

福岡県古賀市

福岡県古賀市

古賀

この附近より海の中道の丘陵見ゆ。(注:福岡県古賀市。海の中道に続く弓なりの美しい海岸線を有する。)

 

大隈言道

はたの菜の冬の引干ひきぼし家ごとに軒にかけたる古賀の山里

今までに人をのせこし駒さへも乗りたる古賀のわたし舟かな

やまとうたeブックス改訂情報2017年02月19日

『赤光(初版・改選版併録) 斎藤茂吉全歌集1』『遠遊 斎藤茂吉全歌集4 』『白き山 斎藤茂吉全歌集16』が改訂され、再ダウンロードにより更新できる状態になりましたので、お知らせ申し上げます。いずれも誤字数ヵ所の訂正です。

ご購入済の方は、「コンテンツと端末の管理」ページ (www.amazon.co.jp/gp/digital/fiona/manage) で「アップデートがあります」をクリックすることで、本のコンテンツを更新できます。
なお、「コンテンツと端末の管理」の「設定」タブで、「コンテンツの自動更新」の設定が「オン」になっている購入者には、新しいバージョンが自動で送信されます。

お手数をお掛けして申し訳ありません。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州7 香椎2017年02月21日

和白干潟

和白干潟 福岡市東区(提供:福岡市)

香椎かしい

香椎駅より東南八町に香椎宮あり、熊襲及び三韓征伐の際の行宮の址(注:福岡県福岡市東区北部。遠浅の海であった香椎潟が万葉集に詠まれ歌枕となったが、近代、埋め立てにより消滅した。博多湾に唯一残る干潟である和白わじろ干潟に辛うじてかつての面影を偲ぶことができよう)。

 

冬十一月、太宰の官人等、香椎廟かしひのめうをろがまつへて退まかり帰りし時、馬を香椎の浦にとどめて、おのもおのもおもひを述べて作れる歌

大伴旅人

いざども香椎かしひかたに白たへの袖さへぬれて朝菜つみてむ

小野老

時つ風吹くべくなりぬ香椎潟潮干の浦に玉藻刈りてな

大隈言道

夕されば寒き浪よる香椎がた鴛鴦をし沈鳧たかべもうちまぜて鳴く

補録

宇努男人うののをびと(万葉集)

かへり常にわが見し香椎潟明日あすゆ後には見むよしも無し

隆家卿、大宰帥だざいのそちにふたたびなりて、のちのたび、香椎の御社に参りけるに、神主、事のもとと杉の葉を折りて、帥のかぶりにかざすとてよめる

神主大膳武忠(金葉集)

ちはやぶる香椎の宮の杉の葉をふたたびかざす君ぞわが君

香椎宮の杉をよみ侍りける
よみ人しらず(新古今集)

ちはやぶる香椎の宮のあや杉は神のみそぎにたてるなりけり

新刊のお知らせ 斎藤茂吉全歌集ほか2017年02月22日

斎藤茂吉の歌集単行本

斎藤茂吉の歌集単行本

Kindle・楽天にて電子書籍『斎藤茂吉全歌集(全18歌集収録)』ほかを発売しました。

斎藤茂吉の全歌集は、全集の短歌篇を含め、これまで四度刊行されていると思いますが、このたびの電子版が他と違う点は、「幻の歌集」と言われた戦争歌集『万軍』を含めたこと、また、歌集単行本の本文を重視し、全集などで後年増補挿入された歌は(検閲のために削除された歌の復活を除き)、「補遺」として別枠に収めたこと、この二点です。

「漬物石か!」と突っ込みたくなる全歌集 電子書籍でスマートに読もう!

『万軍』は、敗戦により出版が中止となったため、長く「幻の歌集」とされてきたものです。「茂吉幻の歌集『萬軍』」(秋葉四郎氏著、岩波書店平成24年刊)に収録された自筆原稿影印を底本として新たに本文を作成しました(こちらの発売は、楽天では少し遅れます)。

上の画像をクリックすると、Amazonの商品説明ページへ移動しますので、詳しくはそちらを御覧下さい。

楽天Koboへは下記よりどうぞ。

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