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宜將愁字作秋心(和漢朗詠集・秋興)2010年10月09日

秋の夕空

客舎秋情 ()
客舎(かくしや)秋情(しうじやう) 小野篁

物色自堪傷客意 物の色は(おのづか)(かく)(こころ)(いた)ましむるに()へたり
宜將愁字作秋心 (うべ)なり(うれへ)の字をもて秋の心に作れること

【通釈】自然のあらゆる物象のありさまが、おのずと旅ゆく私の心を傷ましめる。
なるほど愁の字を作るのに秋の心で以てしたのも尤もだ。

【語釈】◇物色 万物の形相(けいそう)、また風物のありさま。◇客 旅人。作者自身を指す。

【補記】題は釈信阿私注による。原詩は散逸。小野篁が隠岐に配流された時の作という。

【影響を受けた和歌の例】
ことごとに悲しかりけりむべしこそ秋の心をうれへといひけれ(藤原季通『千載集』)
虫の音を聞くに思ひのまさればや愁へを秋の心とは書く(作者未詳『閑谷集』)
時わかず憂きに愁へは添ふものを秋の心とたれかさだめし(今出川院近衛『玉葉集』)
世は色におとろへぞゆく天人(あまびと)のうれへやくだる秋の夕ぐれ(心敬『十体和歌』)

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