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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』大和紀伊方面14 吉水神社~賀名生2015年04月13日

吉野宮滝

吉水神社

南北朝の昔、後醍醐天皇行宮あんぐうのところ。

後醍醐天皇

都だにさびしかりしを雲晴れぬ吉野のおくの五月雨の頃

如意輪寺

吉水神社より谷を隔ててあり。

加納諸平

くち残る矢の根のあとを栞にて千代もつらぬく道求めてむ

後醍醐天皇陵

塔尾の陵のほとりに桜を多く植立てける時
粟田久盛

植ゑおかば苔の下にもみよしのゝみゆきの跡を花やのこさむ

塔尾の陵を拝して
三上参次

芳野山花のさかりはなかなかに都の春やおぼし出でけむ

西行庵

吉野の奥金峰神社より右に数町の山ふところにあり。

西行

とくとくと落つる岩間の苔清水汲みほす程もなき住居かな

大峰

吉野山の奥。吉野又は熊野より入る。

西行

わけ来つる小笹の露にそぼちつゝほしぞわづらふ墨染の袖

日蔵

寂寞の苔の岩戸のしづけさに涙の雨のふらぬ日ぞなき

吉野川

吉野山の麓を西へ流る。下流を紀の川といふ。

湯原王

吉野なる夏箕の川の川淀に鴨ぞなくなる山かげにして

橘曙覧

吉野川春の渚に糸たれて花に鰭ふる魚を釣るかな

川田順

川中の岩畳縦に切りとほし筏の道が作りてありぬ

ほのじろき瀬霧のなかをが動く夜釣の人の岩移りかも

宮滝

上市の東五十町、吉野川の上流にあり。上代の吉野離宮の旧地といふ。

天武天皇

よき人のよしとよく見てよしといひし吉野よく見よよき人よく見つ

賀茂真淵

み吉野を我が見に来ればおちたぎつ滝のみやこに花散り乱る

これより和歌山線に帰りて西へ吉野川の沿岸を下る。

賀名生

南朝賀名生の行在は五条駅より南二里にあり。

藤原公泰

忘れめや御垣にちかき丹生にふ川の流にうきてくだる秋霧

補録

大峰

大峯にて思ひもかけず桜の花の咲きたりけるを見てよめる

行尊

もろともにあはれと思へ山ざくら花よりほかにしる人もなし

大峰のしやうの岩屋にてよめる

草の庵なに露けしと思ひけむ漏らぬ岩屋も袖はぬれけり

大峰の深仙と申す所にて、月を見てよみける

西行

深き山の峰に澄みける月見ずは思ひ出もなき我が身ならまし

修行のついでに大峰の花を見侍りける事を、年へて後思ひ出でてよみ侍りける

道昭

尋ねばや芳野のおくの山桜みし世の花もなほや残ると

吉野川

紀貫之

吉野川岩波高く行く水の早くぞ人を思ひ初めてし

吉野川岸の山吹ふく風にそこの影さへうつろひにけり

藤原家隆

吉野川岸の山吹咲きにけり嶺の桜は散りはてぬらむ

宮滝

山部赤人

み吉野の象山きさやま木末こぬれにはここだも騒く鳥の声かも

大伴旅人

我がゆきは久にはあらじいめわだ瀬とはならずて淵にてありこそ

昔見しきさの小川を今見ればいよよさやけくなりにけるかも

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