佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』大和紀伊方面16 粉河寺・根来寺 ― 2015年04月17日
写真は粉河寺本堂。
粉河寺
粉河駅にあり。西国三十三所観音の一。
粉河寺遍路の衆のうち鳴らす鉦々きこゆ秋の木の間に
根来寺
岩出駅より一里十三町、真言宗新義派の総本山。
古へを吹きぞ伝ふる法の風山の根ごろの松のむら立
桜落葉さびしうぞ散るそのかみの根来法師の面影もなく
補録
粉河寺
いとうへも花のあたりはあだなれどいかに散るらん吹く風の森
(水垣注:初句不審(「いとこへも」とも)。「風のもり」は旧粉河寺領内の風市神社の森という。)
修行せさせたまうける時、粉河の観音にて御札にかかせ給うける御歌
昔より風に知られぬともし火の光にはるるのちの夜の闇
つたへ聞く粉河の水のいかばかりもとの光の月もすむらん
粉河観音の歌
花ごろもかささぎ山に色かへて紅葉のほらの月をながめよ
此歌は、素意法師いまだ出家し侍らざりける時、粉河の観音にまうでて発心してやがてこもり侍りて、いづれの所にてか出家しいづくにてか仏法修行して往生をとげ侍るべきといのり申しけるに、内陣よりかくしめし給けるとなん
法のため此の身は骨をくだきても粉川の水の心にごすな
かづらきの尾越しの雲の崩れきて夕立すなり風猛の里
(水垣注:「風猛の里」は紀ノ川北岸の地。粉河寺に近い。)
根来寺
高野山わかれてこしもことさらに法を伝へん世々のためかも
(水垣注:伝法院(大伝法院)は根来寺の本堂。)
きぎすなく根来の山の桜花さかずは今も焼野ならまし
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