佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』大阪神戸附近目次 ― 2015年07月11日
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陽線1 須磨 ― 2015年07月11日
須磨
邂逅に問ふ人あらば須磨の浦に藻塩たれつつ侘ぶと答へよ
淡路島かよふ千鳥の鳴く声に幾夜ねざめぬ須磨の関守
月のすむ須磨の磯屋のしの簾こころありてや間遠なるらむ
須磨寺は桜紅葉に人見えて小春の海の遠ひびきかな
初雁もまだ尋ね来ぬ西須磨に秋のけしきを見する朝霧
月させばわびて住みけむそのかみの人ならなくに物歎かしき
武庫離宮
ほのかにも離宮のいらか輝けり月見山に白う薄月かかり
一の谷
源平両氏の古戦場、須磨駅に近し。
もののふのとりつたへたる梓弓ひきては人のかへすものかは
補録
須磨
須磨のあまの塩やくけぶり風をいたみ思はぬ方にたなびきにけり
旅人は袂すずしくなりにけり関吹き越ゆる須磨の浦風
恋ひわびてなく音にまがふ浦波は思ふかたより風や吹くらん
友千鳥もろ声に鳴く暁はひとり寝ざめの床もたのもし
五月雨は焚く藻のけぶりうちしめりしほたれまさる須磨の浦人
淡路島はるかに見つる浮雲も須磨の関屋にしぐれきにけり
須磨の海人の袖に吹き越す塩風の馴るとはすれど手にもたまらず
かたがたのまた思ひ出となりやせし月ここもとの須磨の浦波
月はいまうしろの山に出でぬらむあらはれ初むる須磨のうら浪
花見れば大宮の辺の恋しきと源氏に書ける須磨桜咲く
一の谷
もののふの落ち行く一の谷の水よわるも夢の須磨のうら浪
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